高校生の子供が不登校になった時の親の対応は?

高校生の子供が不登校になってしまった……。
ふさぎ込んでしまって、なにがあったかも教えてくれない……。

このように悩んでいる保護者の方は無理やり学校に行かせようとする人もいるかもしれませんが、その対応は間違いです。
気が気じゃないのは分かりますが、無理やり叱っても事態は好転しませんし、むしろ悪化してしまいます。
それでは、どのように不登校になった子供に対応すればよいのでしょうか?
この記事ではやってはいけないNG行動ととるべき行動について解説しています。
ぜひ最後まで読んで、不登校の子供に正しい対応を取ってください。

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なんで不登校になったかを考察する

どのような対応をすればよいのかを早く知りたいという人もいると思いますが、まずはなぜお子さんが不登校になったのか、原因を考えてみましょう。
一言に不登校といっても、不登校になった原因は様々です。
その原因を理解して、正しい対応の仕方を考えていきましょう。

高校生で不登校になる理由はこれ

高校生で不登校になる理由を約二万人の不登校生を対象に調査している調査があります。その調査によると、不登校になる理由は以下の通りです。

いじめ・友人関係 35.1%
無気力・不安 33.8%
生活リズムの乱れ 15.0%
その他 8.8%
家庭環境 7.3%

ほとんどがいじめなどの学校環境と無気力であることが分かりますが、それ以外の理由も一定数存在します。
自分の子供がなぜ不登校になったのか、学校の先生に聞くなどの手段で確認しましょう。
そして、不登校になる原因はほとんどの場合で「甘え」ではない、ということを理解することが重要です。

ほとんどの場合は甘えではない。厳しく当たってはダメ

親心としては、不登校になった子供にどうにかして学校に行ってほしいと思うことでしょう。しかし、前述した学校に行かなくなる原因は甘えではなく、心や肉体の限界から来ているものです。
例えばいじめにあっている子供は心が限界になって学校に行きたくなくなっていますし、生活リズムがどうしても合わない人は体が限界になっています。
そのような子供に、無理やり学校に行かせようとしても無理なものは無理です。
むしろ親に責められることで家の中にも居場所がなくなってしまい、さらにふさぎ込んでしまう可能性もあります。
状況がさらに悪化してしまうと子供と対話することも難しいので、厳しく責めたり学校に行くことを強要したりすることはやめましょう。

こんな対応はダメ!NG対応集

不登校の子供に厳しく当たることはいけないと説明しましたが、そのほかにも取ってはいけないNG対応というのはあります。
無意識のうちに子供の心を追い込んでしまっているケースもあるので注意が必要です。
具体的にとってはいけない対応は以下の通りです。

  • 不登校のことを怒る
  • 不登校になった理由を質問攻めする
  • 心配し過ぎて甘やかしすぎる
  • 完全に放置する

先ほど書いた部分と被る点はありますが、詳しく解説します。
このすべてに共通することは、親自身の都合で行動しないことです。

不登校のことを怒る

「不登校のことを怒る」という行為は最もしてはいけない対応です。
先ほど書いた厳しく責めるということとほぼ一緒ですが、重要なことなのでもう一度解説します。
そもそも、「怒る」という行為はなにについて起こっているのでしょうか?
子供が不登校なことを他の家庭に知られることが恥ずかしいから?多少いじめにあっても高校に通うことなんて当然だから?それとも、通わせているお金がもったいないから?
これらは完全に親側の都合です。子供のことを思って取っている行動ではありません。
子供にとっても反発したくなる要因になるだけですし、そもそも怒られて学校に行くくらいならば不登校にはなりません。
不登校なのは甘えているわけではなく、心か体の危険信号が出ている証拠だということを認識しましょう。

不登校になった理由を質問攻めにする

「不登校になった理由を質問攻めにする」という行為はやってしまいがちな対応ですが、これも避けた方がよいです。
子供がなぜ不登校になったか理由を明確にするべし、と前述しましたが、その理由を本人に聞いてはいけません。
なぜなら不登校になった理由はトラウマになっていることも多く、それに触れられたくないと思っている子供が多いからです。親に事細かに説明するのは恥ずかしいと感じる人も多いでしょう。
また、質問攻めにされた後に学校に行けと言われるのではないかと警戒される可能性もあります。もし「一日だけでも行ってみたら」という優しい言い方だとしても一日も行きたくないと思っている人の方が多いので、余計なお世話だと思われてしまいます。
もし直接聞きたいことがあるならば、必用最低限にしましょう。

心配して甘やかしすぎる

「心配して甘やかしすぎる」という行為も、やってしまいがちな対応の一つです。
厳しく当たってはいけないのだから、甘く当たってあげた方が良いのではと考える人もいるかもしれませんが、重要なのは甘やかし「すぎる」という点です。
漫画やアニメでこんなシーンを見たことはないでしょうか?
部屋に引きこもっている子供にご飯を運んでびくびく声をかけるお母さんが、びくびくしながら子供に声をかけると部屋の中から壁ドンされてびくついている……。
ここまでテンプレな不登校はあまりありませんが、それに似たような甘やかしすぎているケースは多々あります。
こうなってしまうと、子供が不登校だという現状に対する問題意識を持たなくなって、このままでいいと考えるようになります。
甘やかしすぎてもいい結果にならないということを理解しておきましょう。

完全に放置する

「完全に放置する」という行為はすべてのNG対応を避けているように見えますが、このもとってはいけない対応です。
確かに子供に対して悪感情を抱かせることはしていません。しかし、子供の心を回復させるという行為を放棄しています。
不登校になった子供は何度も説明しているように、心か体に疲れを感じています。
その中で、親というのは学校に行かない中で唯一話せる相手です。
子供を刺激したくないという理由で放置すると、子供の心は回復する術を失ってしまいます。

厳しくしても甘やかしすぎても放置してもダメ、というのは矛盾しているようで難しいですが、どこかに偏ってはいけません。
助けを求められたらいつでも助けれる体制は整えておく必要があります。

じゃあどのように対応すればいい?

以上のNG対応を踏まえて、いったいどのように子供に接するのが正しい対応の仕方なのでしょうか?
基本的にNG対応の反対のことをすればいいのですが、それだけでは具体的な行動が分からないので、実際に取るべき行動を紹介します。

  • 家の中に居場所を作ってあげる
  • 色んな事を体験させる
  • 気長に焦らず待つ

以上の三つが特に取るべき行動です。
不登校の子供に対する接し方としては「見守る」という意識が重要です。

家の中に居場所を作ってあげる

「家の中に居場所を作ってあげる」という対応は子供の精神状態を正常に戻すために最も重要な行動です。
子供にとって一人になることができるということは、精神の安定につながるとされています。実際に子供一人の部屋を用意するといったことが可能であれば対応するとよいでしょう。いくら家族とはいえ、親に見られていては気が休まらないということです。
また、気持ちの面でも家の中にいてもいいという心のゆとりを持たせることは大切です。
厄介者だという扱いをしては、子供にとっても自己肯定感が下がっていくだけです。
子供が休日に家にいる、くらいにとらえてあげるとちょうどよいでしょう。

いろんなことを体験させる

「いろんなことを体験させる」という対応は、子供とコミュニケーションを取れる場合におすすめです。
心の回復方法にはいろいろありますが、何が回復につながるかはわかりません。
例えば感動的な本に出会ったり、オンラインゲームで信頼できる人とつながったり、旅行先で美しい景色を見たり。そんなふとした事がきっかけで、前向きに行動できるようになることもあります。
そのため、子供に嫌われない範囲で連れ出してみるとよいでしょう。
買い物に行くだけでも映画を見に行くでもなんでも構いません。無理のない範囲でいろんな経験をさせることが重要です。
また当然ですがこの時に学校に行かないのか聞いてみる、というのはやめましょう。
すべて打算的に行動していると思われてしまいます。

気長に焦らず待つ

「気長に焦らず待つ」という対応は、簡単なようで非常に難しいです。
最初の方は普段通りに接していても、どうしても時間が経ってくればこのままでいいのかという風に考えてしまいます。
しかし、心が癒えるまでの時間は千差万別です。一か月で復調する人もいれば、一年程度かかる人もいます。
そのため、時間がかかっても焦らず待つことが大切です。
もし親が焦っている姿を見せると、治りかけていた子どもも無理をしてしまう可能性があります。子供に動揺を見せないようにすることも親としても務めです。

親の対応で最も大切なのは自分自身が抱え込まないこと

これまでにどのような対応をしてはいけないか、どのような対応をすればよいか詳しく解説しました。
しかし、不登校の子供に接するにあたって一番重要なことはあなた自身、すなわち親側の人間が抱え込まないようにすることです
子供が不登校になってしまったのは親の責任ではありませんし、別に子供が不登校なことは恥ずかしいことではありません。ただ子供の周りの環境が合わなかっただけです。
すべてを自分の責任だと考えて、子供の前で気丈にふるまっていると子供より前に自分の心が壊れてしまいます。
不登校になったことをマイナスにとらえずに、これからどうしていくかを考えるようにしましょう。

不安ならば専門家に頼る

不登校は対応さえ間違えなければ、時間が解決してくれる問題です。
とはいえ、不登校になってしまった子供を目の前にするとどう話せばいいのかわからないという不安も、今の対応が正しいのかという焦燥もあると思います。

そのような人は、専門家に頼ってみると良いでしょう。
不登校の子供というのはかなりの数がいて、あなたと同じように悩んでいる人も多いです。
フリースクールや通信制高校ではそのような人を数多く見ているので、不安な人は連絡して状況を話してみると悩みが解決することがあります。
どちらも基本的に自由に質問できるように門戸を開いているところが多いです。

回復して来たら通信制高校という選択肢も

自分から勉強を始めたり外に自分から足を運ぶようになれば、不登校になった当初の精神状態からはほとんど回復してきている証拠です。
それでも再び元の学校に戻って学習するのは厳しいという子供に対して、通信制高校を進めてみることをおすすめします。
通信制高校は授業のほとんどが自宅学習なので、友人関係が不安であれば通学回数が少ない学校を選べばよいだけです。
高卒資格も取得できるので、今の学校にこだわりがないという場合は検討してみるとよいでしょう。

ただ注意しなければならないのは、これは子供が自発的に行動するようになってから勧めることです。無理やり通信制高校を紹介されても、無理やり勉強を強要されていると感じてしまいます。
一応勉強は始めたけど、元の学校に戻るかは悩んでいる、という子供に対して進めるのがちょうどよい塩梅です。

親の正しい対応は子供を見守ること

子供が不登校になってしまうと非常に心配ですが、親は厳しくしすぎても甘やかしすぎてもいけません。
回復まで時間がかかることを理解して、長い目で見守ってあげましょう。
最も大切なことは自分が責任を感じ過ぎないようにすることです。