通信制高校を検討している方、もしくは通信制高校に通っている人の中には、もしかしたら下調べの最中、ネットの検索で「詐欺」の単語を見かけたこともあるかもしれません。
通信制高校の知名度はかつてよりも高くなっていて、それに伴い学校数も増えています。
しかし中には詐欺行為をはたらくような学校もあり、怪しい学校に騙されないためにはより入念な下調べが必要となっています
この記事では通信制高校にまつわる詐欺にあわないために気を付けておきたいポイントについて解説します。
過去にあった詐欺の事例も紹介しますので参考にしてみてください。
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要チェックの怪しいうたい文句
下調べの方法としてはホームページや資料請求、説明会への参加などがあります。
まずはそれらで見聞きするうたい文句について、怪しい、詐欺の可能性を考えてもいいというものを解説していきます。
気になる通信制高校をある程度絞り込めたら、これらのうたい文句に注意して学校に特徴を調べていきましょう。
スクーリングがない
スクーリングがないと説明する学校はまず怪しいといえます。
スクーリングとは、キャンパスに登校して受ける授業のことです。
通信制高校は家で勉強すれば学校には行かなくていいんじゃないかと思っている方も多いですが、実は通信制高校でも登校は必要です。
ただ全日制の学校よりは登校数は圧倒的に少ないことが多いです。
卒業のために必要なスクーリングは30単位以上
通信制高校を卒業するための条件の一つとして、スクーリングの授業を30単位以上習得しなければいけないというものがあります。
単位が足りなければ卒業はできず、高校卒業資格も取ることができません。
そのため、スクーリングをしなくてもいいと言っていたり、またはスクーリングが少なすぎる通信制高校は怪しいということができます。
テストやレポートがない、極端に少ない
テストやレポートもスクーリングと同じで卒業するための単位修得のために必ず必要です。そのためテストやレポートがないと言っていたり、極端に少ない場合は怪しいと思うようにしましょう。
日本後での学習で海外高校の卒業資格を取れる
例えば、「アメリカの高校の卒業資格が取れる」と宣伝している学校などに対しては慎重に検討するようにしましょう。
そのように宣伝している学校すべてが詐欺を行っているということではありませんが、中には思っていたものとは違う実態のものもあります。
ホームページにアメリカの高校と提携していて…と書いてあっても、実はその高校は現地で正式には認可を得ていない「自称、高校」であることがあります。
当然そのような学校の卒業資格を得ても正式な学歴にはならず、高校の3年間が無駄になってしまうこともあるのです。
何か目的や理由があって海外の高校卒業資格が欲しいという方は、少なくとも日本語で勉強しながら海外の高校卒業資格を取得できるという学校には気を付けましょう。
注意したほうがいい学校の行動
資料や説明会で自情報を集めた後は、学校側の行動に不審な点がないかに注目しましょう。
ここから注意すべきポイントについて説明します。
入金を急かす、期限が短い
いざ入学を決めようかというときに、学校側から授業料の入金を急かされたり、入金の期限がかなり短い時には注意しましょう。
相手に考える時間をなるべく与えないため、また慌てさせて判断力を奪おうとしているとかんがえられます。
「今ならお子さんを優先で入学させられる」のような言葉にも注意するようにしましょう。
教科書がない、自分で選ぶ
入学したはいいものの教科書などの教材がもらえない、または自分で選んで用意するよう言われるときは怪しいです。
教育体制の雑さが垣間見えるときなどは注意が必要です。
授業が簡単すぎる
授業があまりにも簡単すぎるときは気を付けましょう。
過去には教員免許を持っていない先生が教えていたという事例もあります。
こちらは小さくないお金を払っているのに、あまりに教育の質が悪いのは許せませんね。
後で事例でも紹介しますが、あるテーマパークで買い物をしたことを数学の単位として認めていたということもあったようです。
卒業のために再履修が必要になる
あまりに教育のレベルが低いことが発覚した際には、それらの単位の再履修をしなければ卒業が認められません。
簡単だったとはいえ、これまで時間をかけて習得してきた単位をもう一度取り直さなくてはいけないわけですから、結果的に時間やお金が余計にかかってしまうことになります。
履修を終えずに卒業
ある高校では卒業に必要な単位数を修めていないにも関わらず生徒を卒業させたといいます。
当然、卒業は認められず学校は指導を受けることとなりました。
この場合も卒業のためには授業の再履修をすることになりますから、もし「単位が足りなくても何とかなる」というようなことを学校側から示されたとしても、そんなうまいことがあるわけがないと考えるようにしましょう。
高校に見せかけたサポート校
通信制高校に関する詐欺一つとして、高校のように見せかけたサポート校による詐欺があります。
では高校に見せかけることの、一体何がいけないのか。
そしてなぜサポート校だと見破れずに騙されてしまうのかについて説明します。
サポート校では高校卒業資格は得られない
まず、サポート校とはイメージ的には塾のようなもので、公的に認められた学校ではありません。
そのためいくらサポート校に通っても高校卒業資格を取得することはできないのです。
中にはサポート校であることを隠して生徒を受け入れるところもあり、高校だと思って授業料を払ったらサポート校だったという詐欺が起こっています。
高校のような学校名
ではなぜ、その学校がサポート校であることを見破ることができないのか。
それはサポート校がいかにも高校のような学校名を採用していることが多いからです。
見分け方としては「~高等学校」という名前であればそれは通信制高校、「~高等学園」「~高等学院」のように名乗っているのはサポート校と考えていいと思います。
さらに正確に判断したいときは、ホームページのよくある質問欄の「高校卒業資格は取得できますか?」という質問がないかチェックしたり、学校に直接問い合わせてみるようにしましょう。
実際の事例
ここからは過去にあった通信制高校にまつわる詐欺事件の事例を紹介します。
ウィッツ青山学園高等学校
ウィッツ青山学園高等学校では一部生徒に対して教科書など教材を配っていなかったことがわかっていて、教育体制の杜撰さが暴かれています。
就学支援金の不正受給
ウィッツ青山学園高等学校では、就学実績のない、実際には卒業している生徒の情報を利用して就学支援金をだまし取っていたようです。
就学支援金は家庭に支援金が渡されるのではなく、国から学校に渡され、生徒の授業料などにあてられる仕組みですから、そのような詐欺が可能だったのですね。
必要な履修を終えずに卒業
他にも、卒業見込みの400人もの生徒に対して必要な履修を受けさせないまま卒業証書を渡していたこともわかっています。
テーマパークでの買い物でお釣りの計算をしたことを数学の授業の履修としていたこともあり、適切な授業内容が提供されていないと指導されました。
もちろん生徒たちは授業の再履修が必要となりました。
松下高等学院
松下高等学院はサポート校であることを名乗らず生徒を募集していました。
しかし授業料を振り込ませたのち責任者は逃亡。
説明会に行ってアンケートに答えただけで合格通知が届き、3、4日以内に授業料を振り込むよう促されたようです。
国の対応
ウィッツ青山学園高等学校の事件を受けて文部科学省は広域通信制高校への指導を強めることになりました。
広域通信制高校とは、3つ以上の都道府県を幅広く生徒を募集する通信制高校のことです。
2016年からの3年間を集中点検期間とし、専門家や文部科学省の職員などが立ち入り検査などを行います。
詐欺にあわないためにできる対策
では通信制高校を選ぶ際詐欺にあわないためにできる対策について見ていきましょう。
学校の口コミを確認する
気になる通信制高校をある程度絞り込むことができたら、検索などでその学校の口コミも確認してみましょう。
もしかしたらすでに入学している人が感じている違和感や、説明会に参加した人の感想の中に詐欺を思わせるような気になる情報が載っているかもしれません。
入金を急かされても慌てない
これはいろんな詐欺に共通のことですが、入金を急かされても慌ててはいけません。
こちらの判断力を鈍らせるため、そして冷静に考える時間をあたえないための作戦かもしれません。
怪しいと思ったら家族や親しい人に一度相談してみてもいいかもしれません。
うますぎる話を警戒する
あまりにうまくいきすぎている、うますぎる話には慎重になりましょう。
おいしい話には裏があるとよく言います。
飛びついてしまいたくなる気持ちはわかりますが、おいしい話ほど注意が必要であることは忘れないようにしましょう。
下調べに時間をかける
通信制高校の学校数はかつてよりもかなり多くなっていますから、選択肢が多い分当然下調べにも時間がかかります。
また、人間は焦っている時ほど判断力が鈍くなりますから。
そこにつけこまれてしまわないよう、時間にも余裕をもって下調べを始めるようにしましょう。
もし騙されていると感じたら専門機関に相談
もし入学してから「もしかして騙されている…?」と感じたときはどうすればいいのか。
おすすめは専門機関に相談することです。
詐欺について相談できる窓口を紹介しますので参考にしてみてください。
弁護士ドットコム
弁護士ドットコムは、トラブルについて相談できる弁護士を探してくれるサイトです。
お住いの都道府県などで検索すると近くの相談に乗ってくれる弁護士を紹介してくれます。
弁護士の方の連絡先も出てきますので、相談に行く日程の調節をしたり、無料で相談できる範囲などを確認しておきましょう。
警察の相談ホットライン
TEL【9110】
「110」は緊急時に使う番号ですが、「9110」はまだ事件が発生していない段階から相談できる番号です。
東京都では警視庁総合センターに、ほかの都道府県では各都道府県の警察本部につながります。
警察本部の場合はよほどの緊急性がない限りは動いてもらえない可能性がありますが、警視庁総合センターであればDV、暴力被害、悪質商法などの犯罪に対して相談に応じてくれますので、こちらは東京にいる方におすすめです。
消費者ホットライン
TEL【188(局番なし)】
消費者ホットラインは消費者庁が設置している電話窓口です。
氏名、住所、電話番号、年齢、性別、職業を聞かれたうえで、全国の最寄りの消費生活センターなどの窓口を案内してもらえます。
弁護士や警察はハードルが高いなと感じる方は、まずはこちらがおすすめです。
まとめ
通信制高校にまつわる詐欺で気を付けるポイントと対策について解説しました。
おいしい話に騙されないためには、通信制高校について基礎的な知識をあらかじめ知っておくことが大切です。
そうすることで、「これはおかしいのではないか」「これはうまくいきすぎている」という違和感に気付きやすくなりますからね。
万全に下調べをして、最適な通信制高校を選んでいただきたいと思います。