通信制高校とはどんな学校なのか。
通信制高校とはその名の通り、「通信による教育を行う過程」のことです。高校を卒業するためには、3年以上高校に在籍している必要があり、通信制高校もこの学校教育法を遵守しています。
また後ほど説明しますが、通信制高校でも卒業の際「高校卒業資格」を取得できますから、その後の進学も可能です。通信制高校卒業後進学しなかった場合、最終学歴は「高卒」ということになります。
通信制高校とは
通信制高校に関する基本的な情報から調べていきましょう。
どんな人が通うのか
通信制高校にはどんな人が通っているのか?
全日制高校には、10代なかばから後半の、同世代の若者が主に通います。しかしそれに対して、通信制高校には様々な人が通っています。
通信制高校特有の、各自自由に登校ペースや学習ペースを決められるという性質ゆえ、「働いている社会人」「高校中退」「全日制高校からの転校」「不登校児」など、通う人は多種多様です。生徒の中には、最近話題になりつつある「発達障害」で悩む児童も多くなりつつあります。
この他、通信制高校には芸能活動やアスリート活動を行っている生徒も多く、そうした人も学業と両立させやすいという性質を持っています。
全日制高校卒業と同じく「高校卒業資格」を取得可能
上でも少し触れましたが、通信制高校を卒業することで、全日制高校卒業と同じく「高校卒業資格」を取得できます。
何らかの事情で全日制高校から通信制高校に転校した場合でも、最初から通信制高校に入学した場合も同じく、通信制高校を卒業することでその後の未来が開けるのです。
公認資格も、高校卒業資格と同じく進学資格を得られる資格ですが、「高校卒業」の見栄えは履歴書に書いた時違います。
全日制高校との違い
ではもう少し詳しく、通信制高校と全日制高校の違いを掘り下げていきましょう。
全日制高校との違いを把握した上で、「自分には通信制高校の方があっている」と感じたならぜひ、入学を検討してください。
単位制である
やはり最大の違いはここでしょうか。
通信制高校は全日制高校と違い、評価制度「単位制」に設定しています。単位制にすることで、学校は個人の学習ペースに合わせて教育を進められるため、通信制高校のニーズにかなっているのです。
学習ペースの進捗は人それぞれのため、在籍期間も3年~10年以上と、卒業までにかかる期間もバラバラです。
通信制高校の単位取得方法
では通信制高校で、どのようにして単位を得ていくのか、その単位取得方法も調べていきましょう。
課題提出(レポート)
通信制高校の多くは自宅で学習を進めて、学校の規定通りレポートを作成、提出します。学校側がそのレポートの添削を行い、生徒に指導します。
教材で学習して、課題をレポートにまとめて学校に郵送するスタイルが今ままでは一般的でした。しかし現在は、インターネットを活用したeラーニングが盛んになりつつあります。
面接指導(スクーリング)
通信制高校にも登校するケースがあります。
スクーリングと呼ばれる学習では、毎日の自宅学習における疑問の相談、その他生活での不安などを先生に相談します。
スクーリングのスタイルは学校によって異なります。月2回の登校を行う学校が多いですが、全日制高校のような「毎日登校型」を行う学校もあれば、年5日の合宿スクーリングを行う学校もあります。
登校スタイルを選べる
通信制高校は登校スタイルを自分で選べます。
全日制高校では平日の朝から昼間、定時制高校では昼間もしくは夜間に登校しますが、通信制高校では週何日登校するか自分で選択することができます。また、学校によっては登校の代わりに合宿に参加することができるなど、登校スタイルの自由度が高いです。
コースの自由度が高い
通信制高校によっては、全日制高校と同じく普通科から、「芸能コース」や「スポーツコース」など、特別なコースが用意されている場合が多いです。
そのコース設定は学校によって様々ですが、通信制高校のコース選択の自由度は、「高校卒業後すぐに第一線で働きたい」と思っている方にピッタリです。全日制高校に通って、自分の夢を妨げる無駄な時間を過ごしたくない方も、通信制高校なら安心です。
通信制高校の数は多い
実は、全国の広域通信制高校の数は、年々増えています。
出典:文科省「定時制課程・通信制課程高等学校の現状」
公立の通信制高校数こそ横ばいですが、広域通信制高校数も、狭域通信制高校も、どちらも年々数を増しています。それに伴い全国の認知度も上がり、「通信制高校卒業」と言っても最近では珍しい存在ではなくなりました。
東京都内の通信制高校一覧
東京都だけでも多くの通信制高校があり、通信制高校への入学を希望されている方も、多くの選択肢から選ぶことができるようになっています。
サポート校で卒業率を上げる
通信制高校の学習をサポートする「サポート校」についても学んでいきましょう。
サポート校とは、「不認可校」の一種で、国や自治体が認めてはいないものの、塾ほど勉強に特化した学校ではないのが「サポート校」です。
サポート校も学校によってその特色が様々で、「強み」が違います。進学のための勉強に特化したサポート校もあれば、家に居場所が無いと感じる児童への「居場所」としての役割を担っているサポート校もあります。
サポート校に通わないと卒業は困難
実は、通信制高校一本に通っている状態では、卒業するのが難しいです。
学習ペースを自分で管理しなくてはならないこと。わからないことをすぐに聞ける体制がないことなどで、通信制高校を卒業するためにはサポート校の存在がほとんど必須と言えるほどです。
通信制高校のメリット・デメリット
続いて、通信制高校特有の、メリットとデメリットについて学んでいきましょう。
メリット
まずは、通信制高校に通って、学習を進めるメリットから。
自分のペースで登校・学習できる
通信制高校には、様々な「自由」があります。
全日制高校ではすべて大人に強いられる「学習ペース」も、通信制高校では自分のペースで進めることが可能です。週に何回か、または月に何度かのスクーリングがあるものの、それ以外は基本的にすべて「自由時間」です。その時間に働いている人も多いですし、何か自分の夢のための練習時間としている人も多いです。
全日制高校似通っていては、決して手に入らない「自分の時間」が手に入るのがまず通信制高校の大きなメリットの一つです。
学費の安い学校が多く、働きながら通える
公立の通信制高校ならば、3年間通ったとしても10万円程度しかかからないなんてことも。
私立の通信制高校でも、最低30万円~100万円と開きがあるものの、学校に通う費用は低いです。※私立の通信制高校は、コースや学校の設定で費用に大きく差が出てきます。
通信制高校の学費が安いことを活かして、アルバイトしながら学校に通う人も多く、金銭的な理由で全日制高校に通えない人をカバーしてくれています。
また、通信制高校に通う生徒に対する「就学支援金」という制度もあります。
受け入れ体制がしっかりしている
通信制高校には様々な人が通っているというのは、上でもお伝えしたとおりです。
高校生でありがちな「いじめ」、またそれによる「不登校」に悩む生徒を受け入れる姿勢が整っています。他にも、病気や障害があり、毎日登校するのが難しい人でも、通信制高校ならば無理せず毎日通うことができるでしょう。
通信制高校には専属のカウンセラーがいる、ネット環境が整っているなど、様々な人の学習に対応できる環境が整っているのです。
卒業後の進路もしっかりサポート
通信制高校に在学中はもちろん、様々サポートで生徒の学習の後ろ盾となります。
しかし大事なのは、通信制高校を卒業したあとの「進路」です。高校はあくまで一つの通過点に過ぎません。
いかに卒業後、進学した学校で学ぶことができるか。または、卒業後働き出した人が順調に働くことができるか。通信制高校はそんな「卒業後」の面倒もしっかり見てくれるのが大きなメリットです。
デメリット
続いて、通信制高校特有のデメリットも調べてみましょう。
自分で勉強ペースを管理することになる
確かに、通信制高校の学習ペースを制御するのは自分。学習する上で空いた時間はすべて自分の好きに使うことができるため、かなり自由度の高い学習を進めることができます。
「勉強しろ」とも誰も言ってくれません。勉強時間を決めるのも、どこまで勉強をすすめるのかを決めるのも自分。
自分の将来像をあらかじめ考えておき、その自分の未来像に近づくためにはどうすればいいか考えながら、適切に勉強を進めていきましょう。外でもない、自分の意思で。
そして「サポート校」なども上手に使ってください。
全日制高校と比べて人との関わり合いが少ない
人によっては、全日制高校とくらべて人との関わりが少ないというのも、デメリットに感じてしまうかもしれません。
一般的な通信制高校は、投稿日は多くとも週に1回~3回。クラスもしっかりと定まっていない通信制高校は、クラスメイトとの関わりあいも希薄です。「同世代と関わりたい!」という思いで学校に来る人は、通信制高校は向いていないかもしれません。
逆に、過去「いじめ」や「不登校」などの経験があり、同世代との関わりに恐怖心を抱いている人には、これくらいの温度感があっているかもしれません。希薄な人間関係には、いい面と悪い面があるのです。
人との関わりあいを求める人には、学校以外の「アルバイト」などの居場所もありますよね。
社会の「通信制高校」に対する理解が得られにくい
10年前と比べるとかなり多くなっているとはいえ、通信制高校に対する理解が深まっているとは言いにくいです。
日本にはまだまだ高校=全日制高校という認識が広まっているため、通信制高校と聞いてもまだまだ理解が得られにくいというデメリットもあります。
そうした「将来抱えるかもしれないリスク」に関しても予め考えておくべきでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
通信制高校に関する基本情報、通信制高校のメリット・デメリットなど、わかっていただけたでしょうか。
通信制高校には、「通いやすい」「学習ペースを自由に決められる」などのメリットがある分、「卒業が難しい」などのデメリットがあります。
それぞれのメリットとデメリットをしっかり考えた上で、自分には全日制高校と通信制高校のどちらがあっているのか、考えてみるべきでしょう。